岩澤分解
こんにちは。TOEICの授業の課題を先に片づけていたら、数学演習の課題の〆切がお昼までだったらしく課題を提出できなかった愚か者です。ヤバいですね☆
さて、今回は先日見つけた「岩澤分解」というものがおもしろそうで、軽く勉強したのでまとめたいと思います。Lie代数を使って証明できるみたいなのですが、読んでも???だったので線型代数の範囲で紹介していきたいと思います。そのLie代数を使った証明はおそらく「群と物理」*1を読み込めば理解できるんじゃないかなと個人的に思っています。
目次
1. 岩澤分解(概説)
任意のケットベクトルを | >, | >, | > とすれば 、行列を用いて
と変換できる。これをaffinis変換という。| > は平行移動を表していて、これがない場合を特に一次変換と呼ぶ。
さらに、この変換行列は行列 , を用いてと分解できる。これをQR分解という。は直行行列、は上三角行列である。
さらにさらに、このはと分解できる。行列は対角行列, は対角成分が1である上三角行列である。つまり、
と分解できる。これを岩澤分解という。の行列式が1のときは回転行列となり、は拡大・縮小行列、は剪断行列になる。
2. Gram-Schmidtの直交化法
今、任意のケットベクトル { | >, ... , | > } があるとする。| > を基準としたときの正規直交基底 { | >, ... , | > } は次のように求められる。
こうして得られた | > を規格化すれば | > が得られる。このようにして正規直交基底を得る方法を、Gram-Schmidtの直交化法という。
3. 岩澤分解
前節の議論より、
と書ける。は定数。
となるが、これをまとめて
と書ける。 は転置である。このとき、 は任意の実あるいは複素ケットベクトルが構成する行列であるので ] と書け、同様に は正規直交基底の元が構成する行列であるから あるいは と書ける。 は直交行列、 はunitary行列である。
また、変換行列である残りの下三角行列を と置けば となり、変形して となる。このとき、 は上三角行列になる。
これがQR分解である。あとは と分解すれば、岩澤分解が完成する。
4. 例
ピンポイントで問題があったので実際に解いてみましょう。
明らかに岩澤分解の問題ですよね。
であるので、
となります。
Gram-Schmidtの直交化法より、
を得られるので ( 一意ではないので注意!)、直交行列 は
となります。 が求まったのであとは を求めて、 と分解するだけです。やってみてください。
答えはこうなります。
この行列 は単位立方体を以下のように変形させます。
以上で本記事を終わりとさせていただきます。5500字!!疲れたああああああ!!!